さくまゆみこさんの講演会に参加しました。

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奈良で翻訳家さくまゆみこさんの講演会があると教えていただき、さっそく行って参りました。



さくまゆみこ、と聞けばハッとされる方もいらっしゃるでしょう。絵本・児童書だけでも200冊近く翻訳され、著名な本も数多く手がけておられます。例えば核戦争の恐ろしさを描いた世界的ベストセラー『風が吹くとき』、以前当ブログでもご紹介したユリ・シュルヴィッツ『ねむいねむいおはなし』もそうです。
また「アフリカ子どもの本プロジェクト」という、子どもの本を通じてアフリカと日本をつなぐ活動にも尽力されていて、アフリカ関連の訳書も多数出版されています。

今回の講演は「子どもの本を窓にして世界を知る」と題し、いくつかのサブテーマ「多文化共生」「人権・差別・いじめ」「ジェンダー」等に沿って、ご自身の翻訳本に関わらずたくさんの絵本をご紹介してくださいました。
一見難しいテーマですが、だからこそ子どもにも分かるように描かれた本を通じて見聞することで、むしろ直接心に何かが響くのではないか…。いずれも強く惹かれる本ばかりです。
さくまさんの口調は平静でありながら、どの本のことを語るときにも熱意と愛情が滲み、また咀嚼した言葉で丁寧に一冊一冊ご紹介され、ご自身が何度も深く読み味わわれたのだなあと感じます。しかもお話は的を射て簡潔。さすがリズムや配分も的確で、会場全体の集中力は2時間ずっと途切れませんでした。

「子ども時分に良質な絵や文に触れておくことで、成長につれて外からやってくる様々な害悪に対して、心の防波堤のようなものが作られやすいという気がします」
さくまさんの言葉の中で印象に残ったもののひとつです。ご自身の長年の経験からの実感だと思います。大人が良質という点を判断する際にどこまで自信を持てるか、倫理観の圧しつけにならないかなど難しくも思うところですが、最後はやはり愛情をもって臨むということではないでしょうか。
やりたいことがあり、そのために全力で取り組んでおられる人は、いくつになっても若々しく、人を魅了しますね。

充実した時間に満足すると同時に、自分自身の勉強不足も痛感…。本も情報も溢れかえっている今だからこそ、自身の感覚を鍛えていいものを見つけていく努力を惜しんではいけない…!本屋としても、頭にガツンと喰らった感じです。

バオバブの木と星のうた(さくまゆみこホームページ)
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by pavilion-b | 2015-05-28 07:41 | 絵本と本のこと | Comments(0)