花に嵐

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ハナニアラシノタトエモアルゾ
サヨナラダケガ人生ダ



井伏鱒二さんの訳詩が思わずよぎります。今年の桜はまさに「花に嵐」でした。
先週の中ごろ佐保川へ行ってみると、二日続いた雨になんとか耐えた桜が、強い東風のために文字通り花吹雪となっているところでした。

その数日前には、お店に来る人たちから「どこもすごいですよ」と近隣の花見の込みぐあいを聞いていました。空模様はあいにくでしたが、それでも望みをかけてお出かけされた方が多かったようですね。お客様が帰ったあと、足元にちいさな花びらが落ちていたり。
どうか、もうちょっとだけ頑張ってくれますように……。雨雲を見上げつつ、はやる気持ちを抑えていました。

雨上がりに強い風が吹き、思いのほか寒い朝。川沿いの遊歩道にはたっぷりとした水溜まり。そろりそろりと足元に気をつけながら、満開のソメイヨシノを見上げます。
風にあおられて大きく揺れる、今まさに咲ききった花でいっぱいの枝。ヒヨドリがピー、ピーとさかんに鳴きながら花をつつき回っています。たぶん週末にはこのあたりもすごい人出だったはず。その祭りのあとを眺めるように、老夫婦が河原にじっと腰かけています。犬を連れた人もいます。カンバスを立てて絵を描く人も。やむことなく降りしきる花吹雪と、川面を彩る花いかだ。

すこし通りすぎてからカンバスの絵が気になってそっと振り向いてみると……、いかにも画伯然とした老人が丹念に塗っていたのは、なんと一面のショッキングピンク!超アヴァンギャルド。思わず新鮮な目線で、もう一度桜並木を見上げたのでした。
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by pavilion-b | 2017-04-19 18:14 | 奈良さんぽ | Comments(0)