『罪と罰』を読まない

f0097528_9385021.jpg……って、どゆこと?



冒頭にその説明があります。
著者を含め文筆家や本に携わる仕事の関係者が最も恐れる質問、それが「『罪と罰』を読んだことがあるか?」の類だというのです。実際に聞くと、「ない」「ないです」「文庫本は持ってるけど」「昔読んだことがある」「でも、だからよく覚えていない」といった答えが案外多いのだと。
もちろんドストエフスキーに限ったことではありません。たーくさんある世界的名著の中で、さて何冊を読みましたか?とは、特に本に携わる職業人としては耳が痛いのかもしれませんね。

そこで恥を忍んで、むしろ発想を大逆転して、「読んでいない」ことを楽しんじゃえば?という企画が、この本に収録された座談会です。読んでいない者同士、知りうる限りの材料を持ち寄って、あーでもないこーでもないと内容を推測したり、時には勝手に作っちゃったり。でもそこはさすがに作家で、妄想から新奇のストーリーが立ち上がったりして盛り上がります。知ってるよりも知らないほうが面白がれる、というコロンブスの卵。

そしてやはりというか、小出しに実際のストーリーを知るにつれ、だんだん読みたくなってきます。うーん、大長編だし、難しそうだし、でもさすがに面白そうだし、案外難解でもなさそうだし、うーんどうしよう、じゃちょっとだけ……とウズウズしてきます。もちろん読んでいる側も。なるほどそういう本だったか!と気づいたころには網の中。もうこれは読まねばならない!と心に決めています(おおむね)。

まあ読むタイミングというものは人それぞれだし、それがけっこう本を面白く読めるかどうかに関わってもくるので、無理に読む必要はまったくないと思います。むしろ害かもしれません。ただこういうきっかけで「面白そうだな」「いつか読みたいな」と心に刻んでおくのはいいかも。
私は刻みました。さて、いつにするか。夏の100冊気分で、夏の宿題にするか、いつの夏にするか……

『『罪と罰』を読まない』岸本佐知子 三浦しをん 吉田篤弘 吉田浩美(文藝春秋)
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by pavilion-b | 2017-06-28 09:36 | 絵本と本のこと | Comments(0)