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高丘親王航海記

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縁あって、お芝居の稽古を見学させてもらいました。



それもふつうのお芝居ではありません。「糸あやつり人形芝居」、そう、いわゆる人形劇なのですが、気楽に子ども向け人形劇と油断していると危ない(?)オトナの芸術です。
演目は『高丘親王航海記』。澁澤龍彦の遺作となった夢幻的冒険物語です。
当ブログでも何度かご紹介した人形劇団ココンさんの参加する、糸あやつり集団「ITOプロジェクト」による『平太郎化物日記』(2004年~)以来の大型公演で、今春すでに東京と兵庫での公演を終え、今週末に長野いいだ人形劇フェスタでの公演を控えています。その最終通し稽古の現場に厚かましくもお邪魔してきました。

この稽古場が、またいい場所で。大阪は摂津市にある、大正2年築の木造二階建て芝居小屋「旧一津屋公会堂」です。
この場所はむかし淀川に多数あった渡し場のひとつ、「宮ノ下渡し」のすぐそばでした。淀川は摂津と河内の国境でもあり、渡し場は盛んな水運とともに人と物の往来で賑ったといいます。そこに芝居小屋とくれば、往時はさぞ華やかだったことでしょう。
重厚な風格を残す建物は、残念ながら現在は市の集会所という位置づけ。でも見たところまだまだ現役でもいけそうです。中にいると、舞台や桟敷席からまるで人いきれが沸いて来るような感じがします。

あるいはこの日も37度ちかい猛暑で、当然冷房などない建物の中が熱気に包まれていたせいかも……。ただ午前はまだ淀川を渡ってくる風が吹き込んで、思ったよりずっと快適でした。もっとも稽古中のメンバーは終始汗だく。そして私も、ずっと興奮してヒートアップしていました。
全体的に見て舞台もそう大きくはありません。人形も主要なものは背丈がだいたい50センチくらいです。しかし何本もの糸でつながれた人形の繊細な動きや、次々と繰り出される仕掛けに圧倒されるうち、物語の世界がどんどん大きく見えてきます。自分がその世界に入り込んだように錯覚するというか。

稽古の後すこしだけ人形にも触らせてもらいました。この糸が腕、これは脚、こうして左右に傾けるだけで首がこう回って……と人形遣いのプロは簡単に言うけれど、ぜんぜん思うように動かせない! これを一人で何体も操りながら、しかもメンバー同士交錯しながら2時間近くも演じるなんて……
めったに見られない糸あやつり人形芝居の大型公演、チャンスがある人にはぜひ観て、体感してもらいたいです。


いいだ人形劇フェスタ
同上「高丘親王航海記」案内
人形劇団ココン
by pavilion-b | 2018-08-02 06:52 | イベント情報 | Comments(0)