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揚げたてコロッケ

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お店で「風邪が流行ってますねー」などと話をしていたら、隊長も何だかちょっと怪しい兆し。週末前ということもあり、念のためお店を閉めてから車でお医者さんへ行きました。



夕方だから空いているかと思いきや、待合室はいっぱい。マスクの人もたくさん。
そこで私は外で待つことにして一旦医院を出ました。ふと見れば、並ぶ商店に「コロッケ」の文字。フラフラ~っと吸い寄せられると、カウンター越しの厨房で二人のおばちゃんがせっせと働いています。でも店頭には商品が見当たりません。

「言うてくらはったら、揚げますよってに」
私を見て、おばちゃんが顔を上げてニッコリ。ほう、揚げたて! 見上げれば、壁にお品書きがあります。コロッケ100円、ヒレカツ280円……
「じゃ、コロッケみっつください」
「はいはい」
手際よく揚げはじめるうちにも他のお客さんが来て、その人は待たずにメモ紙の付いた袋を受け取ります。厨房にはそんなメモ紙がたくさん貼られています。

「ごめんな遅なって。はいこれ、差し入れ」
「いや、いっつも悪いわあ」
ちょうど夕飯時でもあり、次々とご近所の常連さんが来ます。お店は質素そのもので、派手な看板も何もありません。私も医院へは何度か来ているのに、この時間帯に来て初めて気がついたのでした。小売りだけでなく、仕出し弁当なんかもやっている様子。いいとこ見つけたなあ、とホクホク揚げたてのコロッケをぶら下げて医院へ戻りました。

「何か、いい匂い」
さっそく気づいた隊長にこっそりと袋を見せ、私はしてやったりの得意顔。ところが診察を終えた隊長はまだ会計に呼ばれません。処方もあって混んでいるのです。
「何個買ったの?」
「みっつ」
「二人やのに、ふたつでええがな」
「よっつにしとけばよかったな」
小声で話しながらふと顔を上げると、マスクのおばあちゃんと目が合いました。俯いて静かに待つ人たちのうち何人かも、鼻をピクッとさせたり辺りを見回したりしています。どうもコロッケが震源地のようでした。
by pavilion-b | 2019-02-21 06:47 | 食いしん坊万歳 | Comments(0)