人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『ふしぎな庭』


『ふしぎな庭』_f0097528_94913.jpg人形アニメーションの巨匠イジー・トルンカが、唯一文章まで手掛けた絵本をご存じですか?その『ふしぎな庭』を最近みつけて読みました。ある日5人の小さな子どもたちが、ふしぎな庭を発見します。そこには石でできた小人と口の悪いいじわるネコがいます。格好の遊び場を見つけた5人の子どもたちは、いじわるネコを追い出すことを計画するのですが、、、



ふしぎな庭の中で繰り広げられるお話は奇想天外そのもの。でもぐいぐい引き込まれてしまいます。なぜか子どもたちが困ったときに助けてくれる5頭のゾウ、気が向いた時に昔話をしてくれる石のおじいさん小人、庭の奥の湖に住む知識豊富なクジラ、とにかく個性的なキャラクターが次から次へと登場します。長い夢を見ているようでもあり、現実に起こったことのようでもある。子ども時代に特有な夢と現実を行ったり来たりする感覚が甦ってきます。これぞトルンカマジック!?今でもどこかにあのふしぎな庭があって、いじわる猫が悪態をついているに違いない、そう思えてくるのです。トルンカ曰く「わたしは、子ども向きの絵本を子どもたちのためだけでなく、大人たちのためにも描いているのです。本の展開全体の雰囲気が大切なのです。子どもというものは、芸術家がぞんざいに描くものと、真に責任ある態度で創作するものをよく見抜くものです」。社会主義の厳しい統制の中にあっても、信念を曲げずに作品を創り続けたトルンカらしい言葉ですね。
(写真は関係ないけど朝家の近くでみつけたトンボ!)
by pavilion-b | 2006-08-25 21:21 | 絵本と本のこと | Comments(0)