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吹屋ふるさと村 ベンガラの里


吹屋ふるさと村 ベンガラの里_f0097528_8152232.jpg岡山の旅、津山に続いて訪れたのは吹屋です。
ここは江戸中期から明治時代にかけてベンガラの生産で栄えた鉱山町です。




ベンガラは酸化第二鉄(つまり鉄の赤錆と同じ)を主とした赤色顔料です。木材を風化腐食から守る力もあるため、古くから建造物の木材などによく塗られてきました。神社の社殿や鳥居に塗られているのも元々はベンガラなのですね。奈良でもよく見かけます。また人体にも安全なため食品の着色にも使われます。滋賀県の赤こんにゃくとか。

吹屋ふるさと村 ベンガラの里_f0097528_8161145.jpg吹屋は当時日本最大のベンガラ産地として大いに栄えました。そのため山間部の孤立した集落でありながら、最盛期には従業員1200人もの規模にまで発展します。そしてベンガラ産地らしくベンガラ漆喰壁、ベンガラ格子、石州瓦によって赤く塗られた家並みが続く、独特の景観を作り上げました。今では一帯が国の重要伝統的建造物群保存地区に指定され、観光資源であると同時に貴重な産業遺産として伝えられています。

実は隊長には昔からこのベンガラに思い入れがあるんだそうです。何かの本で「ベンガラは古代よりインドのベンガル地方から輸入したためにそう呼ばれるようになった」と知り、その地域名を冠した顔料にシビれ、「地図」と「絵」が好きだった少年の心は見事に撃ち抜かれたそうです(なんで!?)。以来、テーマカラーは赤。中学時代に毎日被っていた帽子も赤、初めて買ったザックも赤、いろいろ迷った末にお店(パビリオン)の外観もやっぱり赤く塗るという…。

吹屋ふるさと村 ベンガラの里_f0097528_81714100.jpgいやまぁ半分は冗談ですが、実際出来たばかりのお店の外観を見た(主に年配の)人から「ベンガラですか?」と言われたり、「(寺社の色合いに似て)奈良らしいですね」と評されたりしました。以前にもご紹介したことがありましたが、実はお店の配色のヒントになったのはフィンランドの伝統的家屋です。でも結果的に奈良っぽいと思われたのは何となく面白いし、意識はしていなかったけれど不思議な縁も感じたのでした。


吹屋ふるさと村 ベンガラの里_f0097528_8273994.jpg吹屋の見所はいろいろあります。展示館や坑道跡を訪ねる時間がなく残念だったのですが、赤く統一された町並みだけでも見応えがあります。
そしてガイドブックに載っている立派な校舎の写真に惹かれ、吹屋小学校へも訪ねてみました。明治時代の竣工当時は全国でも最大級の、またつい最近まで現役で使用されている日本最古の小学校校舎として有名でした。が…、なんと!訪ねてみてビックリ。今年平成24年の3月末をもって閉校されたとの由(T_T)。

吹屋ふるさと村 ベンガラの里_f0097528_820737.jpg子どもたちの声が消えたばかりの校舎は、静かな山の中でホッと一息ついているようにも見えました。

吹屋ふるさと村 ベンガラの里_f0097528_8204255.jpg考える少年、ちょっと怖い…。

吹屋ふるさと村 ベンガラの里_f0097528_8183496.jpgプールサイドには黒ねこが一匹。

吹屋ふるさと村 ベンガラの里_f0097528_819491.jpg山を下りた子どもたちに代わって、かつて子どもだった隊長がひとはしゃぎ♪
by pavilion-b | 2012-09-09 08:21 | 旅でござんす | Comments(0)