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東北おやつ紀行

東北おやつ紀行_f0097528_1553537.jpg『東北おやつ紀行』という本を読んでいたら、「おやつ」にまつわる記憶がサアッと甦ってきました。



子どものころ、友達の家に遊びに行くとそこには決まって「お菓子箱」というものがありました。「お菓子箱」の多くはのりの空き缶やおかきの空き缶を利用したもので、そこにいろいろな種類の「おやつ」が入っているのです。私の実家ではいわゆる「お菓子箱」は無かったので、クッキーやチョコレートがたっぷり入った「お菓子箱」は憧れの存在でした。でも、いま記憶を辿ってみると「お菓子箱」があったのは共稼ぎのお家が多かったように思います。

鍵を開けてひっそりと静かなお家にあがらせてもらうと、テーブルの上のメモには「おやつはお菓子箱の中」と書かれていました。友達はいつものことのように「お菓子箱」を持ってきて、好きに食べてと差し出してくれました。その夢のように豪華な箱と友達の静かな表情がなんとなく対照的で、いつもは欲張りな私もひとつかふたつ摘まんだだけで閉じてしまいました。

そうかと思うと、別の友人宅ではお母さんが「おやつやで」と言って出してくれたのが熱々の「焼きおにぎり」でした。それまでおやつとは甘いものだと思っていた子どもの私はひどく驚きました。でも、パリパリに焼けた表面が香ばしくなんとも言えず美味しくて、帰ってから早速母に同じものを作ってくれとせがんだ思い出があります。
もう30年以上も前のことなのに、憶えているものですね~(単に食い意地のせいかも…)。


■『東北おやつ紀行』市川慎子/著(中央公論新社)
福島在住だった著者が震災の前に取材、執筆を始め、震災で一時中断したものの、取材先で出会った人々、出来事への感謝の想いを込めて書きあげた1冊。
by pavilion-b | 2013-02-13 15:54 | Comments(0)