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鹿児島のおもいで

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この夏、というより初秋ですね、9月初旬に鹿児島を旅しました。
ほぼ四半世紀ぶりに、父の生まれ故郷を訪ねたのです。



なにせ最後に行ったのは中学の夏休み。
憶えていることと言えば、祖父母が牛を3頭飼っていたこと、畑もありほぼ自給自足の暮らしをしていたこと、罠にかかったウサギが夕食に出てきたこと、薪で炊いた五右衛門風呂に困惑しながら入ったこと…。とにかく東京生まれの私には何もかもが新鮮な体験でした。


鹿児島のおもいで_f0097528_8321252.jpgどんな場所だったかな、だいぶ変わったのかな。空港からその場所へと向かう車中、思った以上にきつい坂をぐんぐん登りながら、そうそう、高原だったんだなあと少しずつ記憶の断片も呼び覚まされます。
ちょっと家が増えた?あ、コンビニ。昔はあたりに何も無くて本当に寂しい場所だと思ったけれど、人里らしい生活のしるしが見られ意外でした。こんな田舎にも月日が変化をもたらしたのか、それとも自分の目線が変わったせいか。


鹿児島のおもいで_f0097528_8324970.jpgあ、ここだ!え、ここ?
主のいなくなった家は、まだ朽ち果てず静かに佇んでいました。懐かしいような、でも様変わりしたような。屋根瓦は苔に覆われてふかふか。霧に包まれることも多く、鹿児島といえども朝晩はかなり冷える場所だということを実感します。

鹿児島のおもいで_f0097528_8332156.jpg一番記憶にあった牛小屋は、まだ健在だったもののすっかり閉じられていて、破れたシートがぶら下がっていました。畑も草だらけですが、思ったほど荒れてはいない様子。それを父に言うと、年に何度か知り合いに頼んで草刈りをしてもらっているとのことでした。


鹿児島のおもいで_f0097528_8333811.jpg日が暮れると、虫の声と闇に包まれます。
家の片隅で、鹿児島と、父母との再会を祝して乾杯。見上げると欄間に素朴な彫り絵で富士山と小舟が描かれています。なぜ鹿児島で富士山?聞けば、この家も祖父が集めた廃材で自ら建てたのだとか。富士山もおじいちゃんの趣味だろうって。
この場所に落ち着くまでに何度も引っ越しをして、そのつど仕事もたびたび変わって、戦争やその前後の混乱を生き抜いたおじいちゃん。まだ小さかったころ、おじいちゃんから電話があると(訛りが強くて)何を言っているのか分からず、モジモジしながらすぐに受話器を親に渡してしまっていたことなどを思い出しながら、爽快な欄間の富士を眺めていました。
by pavilion-b | 2013-10-02 08:33 | 旅でござんす | Comments(0)