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夏の下り坂

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残暑お見舞い申し上げます。



まだまだ暑い日は続きますが、もう立秋も過ぎ、暦の上では秋。
ある休みの午後、カーラジオから稲垣潤一や山下達郎の曲が続けて流れてきました。夏の終わりの曲です。夏の終わりって、特有のグルーヴというか、リズムのようなものがありませんか。切ないけど愛おしい、すこし気だるくて、スローに降りていく感じの。

子どものころは間違いなく夏が待ち遠しくて、夏が来れば大よろこびで、夏が終わっていくのが寂しくて残念でしょうがなかったはずなのですが……。
大人になるとちがいます。気持ち良くも慌ただしい春が早々に去ってしまうころ「ああ、いよいよ、まただ」と眉を顰め、梅雨の湿りに突入すると「ああ、やっぱり来た」とうなだれ、梅雨が明ければ明けたで「わ、来た」と蝉の大合唱に耳をふさぎ、お盆の手前では「もうちょっとか、まだ先か」と夏の終わりを心待ちにするという、それが近年の私の夏。いや、けっして夏が嫌いになったわけではないけれど、昔のように疑いなく一番ではなくなったなと。

それに比べれば夏の終わりの、なんと饒舌な、いや優しく感じることでしょう。戻り来る静けさ、朝晩の涼しさ、光のやわらぎ。早くも心は秋の香へと惹かれ、冬の寒さもこのときばかりは素敵に思えます。焼きたてのパンが食べたい、お鍋もいいな、そろそろ日本酒で、と身体が求めます。
なんでしょう。なかなか素直には認めがたいですが、やっぱり人間としての季節も夏を過ぎ、秋へと向かっているということなのでしょうか。
まあでも、そのぶん秋の楽しみを存分に味わいたいと思うのであります。
by pavilion-b | 2017-08-09 19:53 | Comments(0)