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どうぞ仕事をしてください。

どうぞ仕事をしてください。_f0097528_19193927.jpg冬から春にかけて工事作業をお休みしていたため、隊長は作らなければならないモノがまた溜まってしまいました。しかも今年は梅雨入りが早そう。作業できる日は貴重です。



店の前に出した作業台でトンカン仕事をしていると、向こうから路地を入って来る人影が。今でもたまに店休日と知らずにお客様が来られることがあるので、もしかして……と思ったら案の定。しかもベビーカーを押した若いお母さんと、そのお母さんらしい家族3人です。

隊長は工具を止めて挨拶します。
「すみません。店休日なんです」
「アー、……〇×△、……トランスレイション……×■▽……」
どうやら中国人のようでした。そこで「クローズド、トゥデイ」と言い換えましたが、やや噛み合いません。若いお母さんはスマホを片手に何かを訴えています。
「……ベリー□▲〇、トゥ・ファインド……」
さんざん探して来たのよ、ってことかな? と解釈した隊長が「对不起(ごめんなさい)」と言うと、相手はハッとしてすこし微笑みました。

ところが3人は依然として立ち去りません。お母さんはこんどは男の子に向かって懸命に喋っています。さらにお祖母ちゃんも加わって喧喧囂囂。
蚊帳の外に置かれしばらく眺めていた隊長にも、うすうす事態が呑みこめてきました。つまりお母さんは店休なので入れないと説明するものの、男の子が納得しないようなのです。
「ホラ、見てみなさい。改装工事をしているのよ。だから入れないの。わかった?」
(身振り手振りからの隊長的解釈)

男の子は真剣なまなざしで隊長を見つめました。そこで隊長がニコッと微笑みかけると、男の子もニッコリ。通じた?
「あの、アナタはどうぞ仕事をしてください」
お母さんが気兼ねしたのだと理解し、隊長は作業台へと向き直りました。しかし近くに幼児がいて電動工具を使うのは気が引けます。すると、お母さんはもう一度言いました。
「仕事をしてください。それを使って」
半信半疑ながら隊長がギーンと穴あけ作業をして見せると、彼女は男の子に向かって声高に主張しました。
「ホラ、嘘じゃないでしょう。大工さんが工事をしているから、今日は入れないの。わかった?」
by pavilion-b | 2018-05-31 07:07 | お店づくり | Comments(0)