メロン売り

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スーパーでたまに見かける、試食販売。



先日買い物に行ったら、エスカレーターを上がったところでメロンの試食販売をしていたのです。その手際が実にお見事! 思わず遠めにチラチラと観察してしまいました。

販売員は三角頭巾のベテラン女性。気負いもなく、穏やかな調子で爪楊枝に差した一口メロンを差し出します。やって来たのは子ども連れの若いお母さん。
「まあ、可愛いお嬢ちゃん! 暑いわねえ、メロンおひとつどーぞ」
反射的にニッコリしてキャッチする娘。思わずお母さんも玉突き停止です。
「はい、ママも。暑いですねえ」
あくまでもにこやかに、躊躇なく差し出される一口メロン。見上げる娘の「おいひー!」のダメ押しで、結局お母さんは一玉お買い上げ。

その合間にも、別方向から来たおばあちゃんを呼び止めます。
「一人暮らしやし、メロンは大きいから……」と相手がかわすところへ、
「あらっ、半分のもあるんですよ。さ、お一口、お味見をどうぞ」
「あら、甘い」
「でしょう。よく熟れてますよ」
同時に数人を相手にするのもコツのようで、一人にベッタリと付かず、適度に泳がせつつも逃さず。そんな調子でほんの数分の間に4つも5つもメロンを売っていました。

思い出す、かつての苦い経験。
何を隠そう、私もやったことがあるのです。販売員のアルバイト。キャベツの千切り器を売る、いわゆる実演販売ですよ。学生で、19歳だったのかなあ……
やはり所はデパートのエスカレーター前。恥ずかしくてモジモジするばかり、声も小さいし、背中は曲がるしで、だーれも近寄ってきません。一人黙々とひたすらキャベツを切り続け、結局一つも売れないのに千切りだけがバケツ一杯に。見かねた上司から、あえなく交代を命じられたのでした。

このとき味わった挫折の記憶が、メロン売りを見ていてバーッと蘇ったのです。ああ、あれこそがプロだと。今ならもうちょっとはうまくできるかもしれない……と思うのは、やっぱり甘いでしょうか。
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by pavilion-b | 2018-07-05 06:46 | 食いしん坊万歳 | Comments(0)