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『動物会議』


『動物会議』_f0097528_95205.jpg『動物会議』という絵本をご存じですか?私は図書館で借りて読んだんですが、とても感銘を受けたのでぜひみなさんにもオススメします。



舞台は、とある戦後処理を話し合う会議から。ところがお互いの国益ばかり主張し合って、ぜんぜん決着がつきません。また戦争が起こるのでは、、、と、悪い噂も立ちはじめます。そんな私利私欲のために戦争を繰り返す大人たちを見かねて、世界中の動物たちが「こどもたちのために!」をかけ声に立ち上がりました。戦争の犠牲になるのはいつだって子供たちだったから。「書類や軍服では世界を救えない!」「大切なのはお互いを理解すること」「国境なんて関係ないんだ!」しかし大人たちはまったく聞き入れてくれません。そしてついに動物たちが採った最終手段、それは人間の一番大切な物を隠してしまうことでした…
この絵本が出版されたのは第二次世界大戦後の1949年。戦後の荒廃する世界を見て、なんとかしなくてはと立ち上がったイェラ・レープマンという女性が原案を考えました。それに親身に相談に乗った児童文学作家エーリッヒ・ケストナーによって書き下ろされ、もう二度とこんな悲惨な戦争を起こしてはならないとの願いを込め絵本として出版されました。日本ではケストナー生誕100年にあたる1999年に岩波書店より大型絵本として復刻されています。
戦後60年たった今でも世界中で戦争は続いていますね。この状態をケストナーが見たらどんな気持ちになるだろう。子どもたちはもちろん、大人にも今この絵本がもっと読まれて欲しい気がします。
■『動物会議』エーリヒ・ケストナー(作)ヴァルター・トリアー(絵)池田香代子(訳)岩波書店
by pavilion-b | 2006-08-08 07:49 | 絵本と本のこと | Comments(0)