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ザ・縁日

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京都の弘法市へ、初めて行ってきました。



弘法市は東寺で毎月21日に開かれる縁日。一度見てみたいと思っていたのですが、21日がちょうどお休みに当たるタイミングって意外になかったんですよね。
とにかく縁日らしい縁日でした。骨董や古道具、着物といった古色蒼然モノから、お漬物や乾物、煮付けといった渋い食材まで。境内を所狭しと露店がひしめいています。令和にしてここだけは昭和がこってり。

だいたい売り手が一目でそれと分かる風貌だったりします。そのへんをウロウロ歩いていても、「あ、あの人は客じゃなくて売り手のほうだ」と。体格もいいし、日に焼けていたり、ねじり鉢巻きに草履だったり。
堂に入った口上も聞こえてきます。包丁売りのおじさんは手元で木材を胡瓜みたいにサクサクと切りながら、「この包丁で切れないのは親子の縁だけ。ね。切れ味もずっと長もち。もたないのはカアチャンの……」と名調子。足を止める人がたちまち輪になります。

雑貨商ではベテランの女性店主が、ドイツ人らしい若い女の子に慣れた口調で説明中。
「このへんはみんなセットやからオール・サウザンドやけど、そっちはバラやからファイブ・ハンドレッドね」
女の子は女の子でドイツ語で何か言いながらニコニコ頷いています。そう、外国人のお客さんもたーくさん。

誰もいない骨董屋を覗いていたら、奥に骨董品のような仙人が座っていてびっくり。でも常連らしいお客さんが来ると、二言三言ボソボソっと言葉を交わします。
「……ほんで、なんぼて?」
「2か、3やて」
「そらニセ」
正直適正価格がよく分からないので、客も目が利かなければ簡単には買えない雰囲気です。まあ、それもまた縁日っぽさかも。

いやー、満喫したね、さすがにいろいろ見過ぎてちょっとくたびれたね、と言いながら境内を出て歩きはじめると、少し離れた路上に一畳ほどのシートを広げ品々を並べているサングラスおじさんが。さすがにこれは便乗組……と通り過ぎつつ遠目に見やれば、使いさしの化粧品とか割れたランプシェードとかバラの乾電池とか、明らかにガラクタ市。値札もなし。サングラスおじさんは体育座りのまま不敵に微笑むのでした。
by pavilion-b | 2019-05-25 07:54 | 旅でござんす | Comments(0)