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蟻はなぜ桜を運ぶのか。

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不思議なものを見まして。



ちょうど桜が一斉に散ったころ、公園で足元をチョロチョロ動くものを見つけました。
顔を近づけてよく見ると、どうやら蟻らしい。正確に言えば、近くの小さなものがよく見えないアレなので、大きさや動きからしてたぶん蟻だなと。
で、たぶん蟻なんだけど、ピンク色の羽のようなものをひらひらさせていて、最初は何か別の虫かと思ったのです。でもさらに目を凝らすと、それは桜の花弁を運ぶ蟻でした。

そう気づいてみれば、いるわいるわ、花弁や花柄を顎でくわえて運ぶ蟻、蟻、蟻。みんなある場所の周囲を行ったり来たり大忙し。その様子が、ピンクや臙脂色の旗を振りながらパレードしているようなのです。蟻は一生懸命なのでしょうが、どこか踊っているみたいでもあります。
向かう先はコンクリートの割れ目の穴。きっとその奥は巣です。穴の下には明らかに雨風のせいではなく、蟻たちによって拾い集められた花弁や花柄がうずたかく積もり、こんもりとしたエントランスができあがっていました。

さて、そこで疑問が湧きます。
蟻が運んでいるのは散った桜の花です。なぜ? 食べるの?
虫の死骸とかなら分かります。小分けにして運ぶ場合もあれば、大きなミミズなどをガリバーのように運ぶ様子もよく見かけます。でも、花?
そういえば桜の花にはメジロやヒヨドリもたくさん集まって、しきりに嘴で突いていました。ひょっとすると落ちた花にもまだ甘い蜜とかが残っているのか。

でももし食べるのではないとしたら。たとえば巣の中に敷き詰めるとか? やだ、オシャレ。
巣の中にはきっと女王蟻がいます。もしかすると、花弁をシャワーみたいにして女王を悦ばせているとか……。ふと「不思議の国のアリス」みたいな世界が浮かびます。こうなったらもう、無性に穴の中を覗いてみたい!
集めているのは桜の花だけです。他の落葉や花柄には目もくれず、とにかく桜ばかりをせっせと運んでいます。みんな大好き、桜の季節。


by pavilion-b | 2021-04-17 06:51 | 奈良さんぽ | Comments(0)