2021年 05月 07日
虎杖
以前ならまちを散歩中に「虎杖」と書かれた表札を見たのです。
読めません。トラツエ? コジョウ?
もと武将かな、それとも神社とかお寺関係?
読めないといえば最近の子どもの名前もそうですが、考えてみたら奈良の地名なんかにはザラにありますね。つまり当て字みたいな用法は、一周回って万葉回帰なのかも……
話を戻して、「虎杖」です。
帰って調べてみたら、「イタドリ」でした。読めないよ!
でもおかげで世界が広がりました。「イタドリ」は実はとても身近な草花だったのです。
ちなみに読みの「イタドリ」は、(痛みが取れる)傷薬として利用されたことに由来するとか。また漢字の「虎杖」は中国での名称で、茎に(虎のような?)斑があり、中空で軽くて丈夫なため杖にもなった、との説があります。
写真で見ると、ほんのり赤味がかった泡立つような新芽の様子が、ちょうど今の時季、空き地などでよく見かける草にそっくりです。ああ、あれがイタドリか、知ってる知ってる、と一旦は納得していました。
しばらくその思い込みのまま「イタドリって実はそこらじゅうに生えてる」「雑草扱いだし、なんだったら海外では迷惑な外来種として白眼視さえされるらしいけど、綺麗だし好きだ」とか思っていたのです。ところがある日ふと、毎日見るその泡立つ草は「杖にもなる」という特徴と相容れないことに気づき、改めて「雑草事典」なるものを紐解いてみました。そして「!」
その身近な草の正体は「スイバ」でした。
酸っぱい葉、でスイバ。実際しがむと酸っぱいらしい。イタドリの新芽と見間違えたのはスイバの花穂でした。その部分は一見イタドリと似るのですが、大きさが違います。スイバは細く小さいので杖にはなりません。
ただこのふたつには別名があって、どちらも同じく「スカンポ」というのです。やはり「酸っぱい」から来ている由。ともに食用や生薬としても昔から重宝されてきました。
名前を知るまで特に気にしたこともない草でした。知れば逆に無視するほうが難しい。知ると見るの関係は深遠です。
by pavilion-b
| 2021-05-07 20:34
| 奈良さんぽ
|
Comments(0)