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ビューティフル・サンデー

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年末に盆踊り?



ラジオからなつかしい曲が流れてきました。
ダニエル・ブーンの「ビューティフル・サンデー」(1972年)。まさしく、日曜の朝に。太陽がサンサンと輝き、心躍る日曜がはじまる! っていう気分を盛り立ててくれます。
ただしわたしにとって思い出深いのは、田中星児さんが歌う日本語カバー。じつは子どものころ、盆踊りといえばこの曲だったのです。

夏休み、盆踊りの日が近づくと、子どもたちは薄暮のなか公園へと向かいます。踊りの練習をするのです。お風呂も済ませて、ムームーを着て。本番は浴衣ですが、練習ではなぜかムームーが基本で。
子どもたちだけで夜の公園に集まる感じが、なんだか無闇に楽しくてウキウキしていたなあ。

やがてお祭り本番の日。星降る空の下、櫓と太鼓を中心に、文字通り熱狂の渦が巻き起こります。大人も浮かれ、お父さんたちは赤ら顔、お母さんたちは見慣れない浴衣姿で、ぐるぐる、ぐるぐると人の渦に巻かれています。あやしげな夜店の灯りと色とりどりの玩具、はしゃぐ声に走り回る足音。見慣れたはずの場所が反転して、そこは一夜限りのふしぎな異世界でした。
そしてついに「ビューティフル・サンデー」が鳴り響くや、子どもたちはいっせいに吸い寄せらます。曲とともに高揚し、あるいは一種のトランス状態にまで没入して、輪になって一心不乱に踊り狂う……

あらめて思い起こせば、奇妙な情景でした。
しかも、ですよ。
この曲は、繰り返しになりますが「日曜の朝」の歌。それがなぜ、夜のイベントである盆踊りの定番になったのか? まちがいなく降り注ぐ太陽のイメージなのに、わたしの中ではすっかり夜の光景が焼き付いてしまっています。そして今も、曲が流れるや条件反射で身体がウズウズするのです。
12月なのに。

by pavilion-b | 2021-12-15 16:15 | Comments(0)