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哀愁のないおじさん

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ホラーですよ。



電話が鳴り、受話器を取って店の名を告げると、相手が切り出します。
「失礼いたします。こちらはグーグルマップです。お店の一週間の営業時間を確認させてください」
おじさんの声です。営業電話の類はたいてい若い人で、それもどちらかといえば女性が多いので、アレ、めずらしいなと思いつつ答えかけたとき……
一瞬出かかった声を、思わず呑み込みました。

これは……もしや?
答えられずにいると、相手は言いました。
「こちらの声が、届いていますでしょうか?」
落ち着いた、おじさんの声です。
こんどは意図的に、黙っていました。すると間を置いて、もう一度おじさんは言います。
「こちらの声が、届いていますでしょうか?」
先とまったく同じトーン。

やはり。
ここまできてやっと、相手がAIだと確信しました。
何もAIだったら答えない、というわけではないんです。ただただ、怖かった。
宅配便の再配達受付とか、世論調査とか、自動音声が電話口の相手であることは前からあります。さらにここ1、2年かな? 商品案内などのセールスが自動音声で「興味があったら1番を押してください」みたいに言ってくるのも何度かありました。ああ、ついにそういう時代が来たのかと。ただその音声はまだ明らかに機械だと判るものでした。

いったい、AIの音声を人間に近づけることに意義はあるの?
機械的な音声よりも、人間のように喋る機械のほうが回答率が高かったりする? わたしは逆効果に思えるんですけど、世の中的には……どうなんでしょう。
別に答えてもよかったのですが、今回は金縛りにあったみたいに沈黙してしまい、こちらから切り出すタイミングを失いました。すると相手も喋らず、しかも電話は切らないという状態が1分ほど! それにこちらが答えればAIはまたさらに学習してこの妙な間合いを詰めてくるのかと思うと、ゾッとして、迷いつつも最後はそっと受話器を戻してしまいました。
終始まったく動揺や緊張が伝わってこなかったのが、何よりもAIらしい。

by pavilion-b | 2022-04-23 08:26 | Comments(0)