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事業継承

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先日、商店街に行列ができていました。



60年以上も続く有名なうどん屋さんの前です。ご高齢の店主が引退されるということで閉店の噂は聞いていましたが、あの様子だと最後までお忙しかっただろうなあ。
それにしても長い行列を見て、つい考えてしまいました。

信用は日々の積み重ねです。お店をやっていて、年を経るほどにそれは実感させられます。
まして60年ともなれば、まだまだ想像もつきませんが、どっしりと根を張った大樹のようなものでしょうか。客としても、老舗には何ともいえない安心感があります。壁やテーブルにはもちろんのこと、そこに流れる空気からもそれは伝わってきます。ふしぎな感覚です。

ふと思ったのは、これからお店を始めたい人がこの価値を込みで継承したら、まったくゼロからスタートするのに比べていろいろと有益なのではないかということです。新しい店主にとっても、愛着のあるお客様にとっても、さらには社会にとっても……。老舗があるということはひいては街全体の価値を高め誇りを生む基にもなり、長い目で見ればいっそう有意義に思えます。

……とここまで考えたところで、待てよ、と立ち止まりました。
もしも自分だったら、はたしてお店を継承するかしら。振り返ってお店を始めようとしたとき、ゼロから始めること以外は考えもしなかった気がします。もちろんじっさいに運良く継承されうまくいっているお店もありますから、そこは人それぞれですが、成功するかどうかは分からずとも、やっぱり自分を丸ごと試してみたいというエネルギーがあったからこそ始められたんじゃないかと。

長くあった場所がなくなるのは寂しいと感じる一方で、人の入れ替わりと同様に街も新陳代謝してゆくのが本来だということもわかります。難しいですね。
ここ数日のうちにも、改装工事中の空き店舗を3か所も見つけました。カウンターのようなものが見えて、飲食店かな、何系かな、とワクワクしています。

by pavilion-b | 2022-09-22 14:01 | 奈良さんぽ | Comments(0)