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パール街の少年たち


パール街の少年たち_f0097528_8565710.jpgやっと、どうやら酷暑から解放されたみたいですね!
今週に入ってから奈良でも連日凄い雷が鳴って、8月に入ってすっかり降らなかった雨が続きました。ひと夏分がまとめてドサッと降った感じです。おかげでだいぶん過ごしやすくなりました。これでPC作業もはかどって、秋の展覧会に向けてガンガン仕事するゾ!!



…と力んではみたものの。ま、相変わらず一日中パソコンの画面を眺めていると、目はシバシバするし、肩も凝るし、第一どうしたって集中力が切れてきてしまいます。暑さから解放されてマシにはなったものの、まだまだ山積みの仕事を片づけていくには上手な気分転換が欠かせません。
そんなわけ(言い訳?)で、ちょっとした合間に図書館で借りた本を読んでいます。『パール街の少年たち』(モルナール作)はその中の一冊。実はこれ、いま準備を進めている展覧会に関係する本なんですが、とっても面白かったのでご紹介します〜
舞台は19世紀末のブダペスト、都心には少なくなりつつあったある原っぱを遊び場にするパール街の少年たち。それに対し別の少年グループ‘赤シャツ団’は原っぱの侵略を画策し、遂に激突の日を迎える─。
登場する少年たちが多く、しかもハンガリー人の名前がカタカナ表記だとちょっと読みにくかったりするんですが、一人一人がとても個性的で活き活きと描かれていて、読み進むうちに夢中で引き込まれていきます。そういえば子どものころは、(たとえ街の一角に過ぎなかったとしても)大人とは別の自分たちの‘世界’があって、毎日のように様々な‘事件’が起こったり、人間関係に悩んだり、心から笑ったり、胸が張り裂けそうに傷んだり…。そういう日々が確かにあったことを、私も鮮明に思い出しました。石畳の街路を全速力で駈けたり、塀を乗り越えて植物園に忍び込んだり、いつの間にか自分も一緒になって疾走しているような爽快感に浸っていたり。子どもの眼を通して描かれているためか、百年ほど前のブダペストという街もより生々しく、立体的に感じられます。
この本は、今度展覧会でご紹介するレイク・カーロイが好きだった作品のひとつと知ったので、ぜひ読んでみたいと思ったのです。生前のカーロイさんはこの本を読むとき、いつも涙を流していたそうです。何故かは…、読めば必ず解ります。素晴らしい作品なので、これから秋の夜長で本をお探しの方にはぜひオススメしますよ。
by pavilion-b | 2007-08-31 21:04 | 絵本と本のこと | Comments(0)